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メーカー:ロケットミュージック
JAN:4571453881530
ISBN:9784866793115
PCD:ARG25
A4
刊行日:2023/09/01
【この楽譜は「小編成用」のためにアレンジされた楽譜で、21人から演奏できるように工夫されています】
「ハムレット」に続いてシェイクスピアの戯曲によるシリーズの第2作として1977年に出版された組曲です。イサカ音楽大学がそのバンド・ディレクターであったワルター・ビーラー(1908~1973)の追憶のために「メモリアル・コミッション・シリーズ」としてリードに委嘱してきた曲です。
曲は5つの楽章からなり、リードはそれぞれに次のようなプログラム・ノートを書いています(この小編成版は1,3,4楽章を使用)
──シェイクスピアの劇の5つの場面によるコンサート・バンド、またはウインド・アンサンブルのためのシンフォニック・ポートレイト「オセロ」は演奏会用組曲である。それぞれの楽章を音楽的に性格づけているムードやフィーリングは劇の場面にもとづいており、文章それ自身からの引用によって成り立っている。
●第1楽章 前奏曲 ベニス
緊張、軍隊的雰囲気を直接つくっていて、それは劇そのものであり、オセロ自身が第1幕第3場でベニスの公爵に対する返事「戦いの習慣は石を枕に鋼の床となり、戦場こそは私にとってこよなき寝床です」という言葉を示している。
●第2楽章 朝の音楽 キプロス
第3幕第1場でオセロとデズデモナの窓の下で町の音楽家たちが奏でる朝の歌またはセレナーデで、「おはよう将軍」というタイトルである。
朝、音楽家たちが奏でているその様子を描いたこの楽章は、ホルン、トランペット、トロンボーンの金管3重奏を中心に展開されるバロック風な軽快な曲。
●第3楽章 オセロとデズデモナ
情熱的だが、やさしい彼らの間の深い感情をあらわし、第1幕でオセロがベニス元老院で行った有名なスピーチ「彼女は私が経験してきた危険の故に私を愛し、私は彼女の憐れみの心を愛した」にもとづいている。
これにもとづいて作曲された4/4拍子のゆっくりとした美しい旋律による愛の楽章で、うねうねとした旋律が重なって厚い感情的な盛りあがりを形作っていく。
●第4楽章 延臣たちの入場
シェイクスピアの原作の第4幕第1場とヴェルディの歌劇のためにポイートが作詩した同じ場面の混合。オセロが激情と嫉妬で半狂乱になり、はじめに叱り、次に彼の英雄と讃えて庭に入ってきた人々の見ている前でデズデモナを殴り、イヤーゴが「ベニスのライオンを見よ」とあざける場面。
曲はトランペットとトロンボーンを中心としたゆっくりとしたファンファーレにはじまり、次にマーチ風なテーマが登場して壮麗なプロセッション・マーチ(式典行進曲)を形作る。
●第5楽章 デズデモナの死、終曲
音楽の総決算であり、これまでに高まった緊張の解決である。第5幕第2場のように劇が終わり、すべての曲解が人々の本性を引き離してしまうその結末を示している。ここで引用されているのはデズデモナの死体に話しかけるオセロの有名な最後のせりふ「わしはそなたを殺す前にキスをした。今はもうこのほかの道はない・・・・・・」である。
この有名なせりふにもとづいて作曲された終楽章で、激しい動きの木管やクラリネットの不気味なトリルがこの不幸を暗示し、ホルンや金管が劇的なクライマックスをもたらし、ティンパニーの3連符の絶望的なリズムのうちに静かに消えて悲劇は終わる。──
シェイクスピアの原作そのものがムーア人が白人の貴族の娘を妻にするといった、当時としてはセンセーショナルな筋書きで、それが悲劇につながっていきます。そうした背景のこのドラマを見事に音楽に描きあげた曲で、リードの作品のなかでも重要な曲の1つです。(秋山紀夫)